活動テーマ:医療

感染症・パンデミック への対応

活動概要
本学の理念では「生命の尊厳を重んじ、病める人を癒す、愛ある医療を提供します」と謳っています。
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)については、2000年2月9日のダイアモンドプリンセス号からの患者を大学病院の理念に基づき、積極的に受け入れ、現在まで重症患者500名、総計1000名以上の入院患者の管理をしてきました。オリンピック開催後の第5波では、人工呼吸器管理患者が30名、そして、ECMO管理の患者が5名と、今まで経験をしたことのない重症患者が押し寄せてきました。全病院を挙げて、救急の支援をしていただき、COVID-19の患者は元より、一般の救急診療を止めることなく、川崎北部の救急診療の使命を果たすことができたのは、大学病院が一丸となりチーム医療に取り組めた証左であると思います。
そして、政令指定都市(川崎市・横浜市)において当院が高度医療機関として重症患者を受け入れることで、近隣の病院が中等症患者の受け入れを円滑に行えたことは、今後の地域医療連携を発展させていく上でかけがいのない実績となりました。
目標
■ 救急の理念でもある、一次から三次救急医療を受け入れ、国内の大学病院のロールモデルとなる救急診療の確立と高度な集中治療の提供。
目標への取組
■ 救急車の受け入れを年間10,000台以上とし、救急医療のハイボリュームセンターとする。
■ 川崎北部の救急医療のハブとなり、近隣病院と連携をして、各施設の役割分担が果たせるような仕組みづくりをするリーダーとなる。
■ 国内でもトップレベルとなる集中治療医療の教育施設としての役割を果たす。

医療技術の革新Decentralized Clinical Trial (分散型臨床試験)の標準化へ向けた取り組み:遠隔診療を用いた治験スクリーニング

活動概要
近年、希少な遺伝子異常を有する固形がんを対象とした薬剤開発が行われています。しかし、このような希少な疾患を対象とした治験では計画通りに症例を集積することが難しいと考えます。治験実施施設が限られ治験へのアクセスが原因の一つになっており、遠隔医療の実装によるアクセス改善が期待されています。この度、当院で実施している希少がんを対象とした治験を希望する患者に対して、オンライン診療を活用した治験プレスクリーニングの実装および有用性を評価するための研究を行いました。
腫瘍内科で治験を希望され、スマートフォンを利用できる患者に対して、DCT支援システム(MiROHA;株式会社MICIN)のオンライン診療機能を用いて治験プレスクリーニング手順(同意説明取得、検査等)を全て遠隔で行いました。2021年1月から2022年8月の間に11名が登録され(年齢中央値49歳、居住地;東京4名、神奈川1名、静岡3名、埼玉2名、宮﨑1名)、全員に手順書に則った診療を行うことができました。本研究において、オンライン診療を用いた遠隔での治験プレスクリーニングが実装可能であることを示すことができました。
目標
■ がん領域におけるDCTによる治験の標準化と本学の関連病院におけるDCTの臨床実装。
目標への取組
■ オンライン診療を利用した臨床試験と有用性の検証。
■ 日本遠隔医療学会腫瘍内科遠隔医療分科会を通じて、がん診療における遠隔医療の普及。

動物介在療法 病と闘う患者さまとその家族に寄り添い、医療現場の笑顔に貢献

活動概要
当院では2015年4月、大学病院として初めて動物介在療法(animal assisted therapy: AAT)を導入しました。AATとは治療計画の中に動物の介在により期待される変化を組み入れた治療ゴールを設定し、その変化を観察していく医療補助療法の一つです。対象は個人であり、医師または看護師の要請に応じ、定期的に活動を行う事で治療効果を上げていきます。2022年8月までに全ての診療科で年齢に関わらず、378名の患者さまに1,827件のAATが実践され、情緒的安定や闘病意欲の向上、自尊感情や自己肯定感の回復など、それぞれの患者に必要な効果を認められました。
AATは患者のみならず家族や医療スタッフにも精神的な安らぎを与えることができるため、勤務犬の周りにはいつもたくさんの笑顔があふれ、温かく優しい空気が流れています。
目標
■ 2015年より日本介助犬協会と共同事業として開始した動物介在療法活動の継続。
■ 動物介在療法の有効性を科学的かつ定量的、客観的に評価することを目的とした研究結果の報告。
■ 2023年度より多くの依頼に対応できるよう、ハンドラーの増員と活動環境の整備。
目標への取組
■ 動物介在療法の評価
・ AATの前後でface scaleを用いた疼痛の評価。
・ ストレス指標である唾液中のアミラーゼ・遊離コルチゾール濃度、オキシトシンの測定。
・ 質問紙法を用いた客観的評価。

■ 動物介在療法を提供するための環境整備
・ ハンドラーを2名から3名に増員。
・ 活動日を週2回から3回へ増やす。
・ 兼務で働く看護師の活動日の確保と仕事環境の整備。

■ 管理料取得に向けた活動
・ 効果と安全性のデータの蓄積。
・ 国の関係部署へ働きかけ。
聖マリアンナ医科大学は持続可能な開発目的(SDGs)を支援しています
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